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艦これSS「僕はまだ、ここにいても大丈夫なのかな」

 ちょっと東方の原稿の手が詰まってしまったため、頭の運動という感じで違うSSを書こうと思いました。
 ふと思ったのが艦これの時雨。現在レベル45。絶賛改二に向けて育成中です。
 それと3-2攻略時にお世話になった夕立。育成していくうちに可愛く見えてしまいかなり気に入った子になりました。
 改二があり、雑誌の表紙も飾るそんな二人の組み合わせ、夕時雨をふと書きたくなり一気に書き進めたSSです。

 先日の響×電を書いた時にも思いましたが、艦これの百合がもっと増えるといいのです。



 雨の日になるとこうして僕は外へ出る。
 僕達白露型の6人は今日は非番だ。遠征は睦月たちや暁たちが、最近進んでいる潜水艦のいる海域への進軍は綾波たちがやっている。深海棲艦たちは雨の日でも関係なくやってくるみたいだ。
 白露と村雨はたまの休日ということでおでかけ。凉風と五月雨は陽炎型のみんなと遊んでいる。
 そんな風に休日を満喫しているみんなだけど、僕はどうにもそんな気分にならなかった。
 今日は10月25日。僕達がこの艦娘の姿になったあとでも忘れもしない戦い。その日僕を残し西村艦隊のみんなは沈んだ。
 幸運艦『佐世保の時雨』なんて呼ばれるけど、そんな名前は僕にとってありがたいものではないのかもしれない。同じように幸運艦と呼ばれている雪風はそれを自慢としているけど、僕以上に船の姿のみんなの沈んだ姿を見てきているはず。それでも彼女は明るく振舞っている。強いなぁと思う。
 非番なので艤装を外し、鎮守府から見える海を見つめる。波は少し荒れてて、どんよりとした空、雨の好きな僕でも少しブルーな気持ちになる。
 今も扶桑や山城たちと今でも艦隊を組んで出撃することがある。あの時と違い、誰一人の犠牲も出さず戦果をあげてきたのが認められたのか、扶桑と山城は航空戦艦へ、最上は航空巡洋艦へ艤装の改造がされた。僕も例外ではなく最近艤装の強化が施された。それを嬉しいと思った扶桑と山城からお揃いの髪飾りをもらった。
 その時僕は再度決心した。二度とみんなの沈む姿を見ないように、みんなを守ると。西村艦隊のみんなだけじゃなく、この鎮守府にいるみんなを。
「こんなところにいたっぽい?」
 そんな口調をする子はこの鎮守府ではひとりしかない。後ろからした声は同じ白露型の夕立。昼と夜の境界に降る雨の名前を持った姉妹艦だ。
「夕立こそ、どうしたんだい?」
「時雨がいないから探してたっぽい。門の憲兵さんも見てないっぽいし、鎮守府の中にもいないっぽいから外かなと思って」
「夕立こそ、出かけないのかい?」
「今日は時雨と一緒にいたいっぽい?」
 曖昧な返事だ。彼女の口癖なのだが、時にその意図がわからないときがある。
「時雨、昨日から元気ないっぽいから」
 昨日は夕方ころに偵察から旗艦。川内たちと交代して夕食とお風呂のあとはそのまま寝てしまった。今日のことが頭によぎったのか、変なところで気を使って疲れたみたいだ。
「こういうときはご飯食べると元気でるっぽい。今日はハンバーグだからたくさん食べるといいっぽい!」
『っぽい』と言っているけど断定している口調。つまり昼食を一緒に食べたいらしい。いつも僕達を引っ張るのは白露と凉風だから、こうして夕立に誘われるのは少し新鮮だ。
「わかったよ。少し早いけどお昼にしよう」
「わーい、ごっはんーごっはんー」
 傘を指しながらもスキップで寮へ戻る夕立のあとに僕もついていく。名前の通り、元気な雨だ。

 昼食の後も夕立に連れられて部屋へ戻ってきた。部屋には『80万の感謝っぽい?』という夕立の書いた掛け軸がおいてある。何が80万なのかイマイチ分からないけど、書くように提督から夕立に指示があった。どうやらコピーが量産されて各鎮守府や停泊地に配布されているらしく、これはそのオリジナルになる。
 白露がよく散らかすけど、村雨がよく片付けるので部屋の中は割と綺麗だ。他の駆逐艦の部屋を見ると特にそう思う。でも一番散らかってるのは駆逐艦の誰でもなく、軽巡洋艦の夕張の部屋だ。あまりに散らかすので個室を与えられたほどだ。
 自分のベッドに座ると夕立も何気なくその隣にくる。
「時雨やっぱり元気ないっぽい」
「僕はいつもこんなかんじだよ」
「っぽいけど、いつもは涼しい表情っぽいけど、今日はブルーっぽい」
 言いたいことはなんとなく分かる。やっぱり今日という日はどうしても思い出してしまうようだ。
 山雲、満潮、朝雲、扶桑が海へ落ちていく姿、最上の艦橋が吹き飛ぶ様子、そして『我魚雷を受く。各艦は我に省みず前進し、敵を攻撃すべし』山城に乗っていた西村中将から出た命令。この後山城は沈んだ。その姿が今でも頭をよぎる。
 あれから何十年も経っていて、今の僕は船の姿をしていない。扶桑や山城たちも今は同じ姿で元気にしているというのに。
 あの時僕も一緒に沈むべきだったのかもしれない。自らを盾に特攻をした山城のように、沖縄へ行った大和のように、空母としての昨日を失っても役割を全うした瑞鶴のように。
「ねえ夕立は、船だった時のこと覚えてる」
「どういう理屈かは分からないけど分かるっぽい。ソロモン海戦の夜戦で春雨や比叡たちに援護してもらいながらがんばったっぽい。吉川艦長が航行不能になっても戦うことを諦めなかったことも、五月雨が撃沈処分できなくて吉川艦長が泣きながら見送ってくれたことも、みんなみんな覚えてるっぽい!」
 彼女は自分が船だった頃の艦長を誇りにしている。今の自分がいるのは艦長のおかげだと、だいぶ前に言っていた。
 彼女も僕と同様戦果を認められて艤装を改装された。その際に格好までイメチェンしてきて驚いたのを今でも覚えている。その後の夜戦で比叡が敵だと誤認して打ちそうになったのを彼女は笑いながら話していたのもさっきの話と同様よく覚えている。
「そう、僕も覚えているよ」
「時雨?」
「山城が沈むのを見て、僕の艦長は撤退を命令した。結果的に助かった命もたくさんあるよ。でもたまに思うんだ、あの時みんなといっしょに沈むべきだったかもって」
 そうすれば今こんな想いをしなくてもいい。幸運艦なんて呼ばれなくたっていい、みんなと一緒にいたい。でもそれはあの時かなわなかった。
 今でこそ姿を変えみんなといっしょだけど、そうじゃなかったら出会うことはできなかったと思う。
 雨が降る。
「僕はまだ、ここにいても大丈夫なのかな?」
「時雨!」
「あわわ」
 僕の名前を叫ぶや否やベッドへ押し倒される。
 ま、まだお昼だしまだ僕達まだそんな関係じゃ――
「時雨は頑張ってるっぽい。扶桑や山城、最上や満潮だってそう思ってるっぽい。今の姿と今の艤装は、あの時と今頑張ってるからあるっぽい。だから、そういう風に言ってほしくない……っぽい」
 夕立まで降りだした。僕の頬を濡らす雨は暖かくて優しい。冷たくなった心まで温めてくれるような夕立。
「夕立は、今の時雨が大好きっぽい」
「えっ」
「白露や村雨、凉風や五月雨、扶桑や山城・最上や満潮・提督さんだってそう、みんな時雨が大好きっぽい。ここにいても大丈夫じゃなくて、ここにいてほしいっぽい」
 そういうことか。でもこれは嬉しい。
「時雨は夕立が沈めさせないっぽい。時雨がみんなをそう思っているように、夕立たちもそう思ってるっぽいから、覚えていてほしいっぽい」
 言いたいことを言い切ると夕立は僕に抱きついてすすり泣きをする。そんな優しい雨を感じながら、夕立の体を抱きしめる。
 僕は思った以上にみんなに愛されているのかもしれない。佐世保の時雨はそんなみんなが付けてくれた呼び名。いらないなんて言っちゃいけないのかもしれないね。
「ありがとう、夕立。僕も大好きだよ」
 やっぱり僕は幸運艦だ。こんなにも愛されている。

「ほら、せっかくの美人が台無しだよ」
 少し泣き止んだ夕立の髪を直してあげる。顔は後で洗ってきてもらうしかないけど。
「時雨のほうが美人っぽい」
「そんなことはないさ」
 夕立がイメチェンしてから、僕は少し夕立のことを気にしている。その赤い目で見つめられると少しドキドキするときがあるし、その声で呼ばれると嬉しい。
「でも、ありがとう」
「時雨はもっと自信を持つといいっぽい」
「すぐには無理かもしれないけど、がんばってみるよ」
「うんうん、時雨はいい子っぽい」
 とくしゃくしゃになった顔でも、精一杯の笑顔。そのきれいな手で優しく頭をなでられる。
 嬉しい。
 夕立に優しくされるのがとても嬉しい。
 扶桑と山城も優しいけど、そういうんじゃない。もっとしてほしい、甘えたい、僕もしたい。そんな気持ちになる。
 これはまるで……そう、恋。
 優しくて強い夕立に恋をしたんだ。
「時雨、顔が赤いっぽい」
「そう、っぽい?」
「っぽい」
 それは多分恋の雨が降りだしたせいだよ。



 時雨のこの放置時のセリフが気になり妄想をふくらませてみました。
 時雨は詩的な言い方が似合う。実際セリフもそんな感じなので、こんなクサい言い方にも違和感を感じさせずセリフの脳内再生が可能でした。声オタのスキルを駆使し、そのセリフが合うかどうかを脳内再生で判断します。東方と違い、声がある作品の二次創作ならではの考え方ですね。
 夕立の「っぽい」は考えて楽しかったです。ホントかわいいなー、この悪夢。
 今回史実を調べるにあたりでてきた、他の白露型の実装も待たれますね。
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