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東方SS「笑顔の季節外伝 ニュースシーズン」

 冬のコピ本に収録予定の1つです。笑顔の季節はにと雛がメインですが、二人を取り巻く別のカップルもいたりします。そのうちの一組が夏に出てきたあやはた。ふと書きたくなって書いてみたらあっさりと出来上がりました。
 下手に考えないで書くとキャラが勝手にしゃべってくれるので楽なのかもしれません。みんなおしゃべりですから。

 というわけで今回は短めの文×はたてのSSです。にとり以外の視点で書くのは久しぶりでした。こうして書いてみるとはたても書きやすくて楽しいキャラだと思えます。まあ、東方のキャラで書いてて楽しくないキャラなんてなかなかいないでしょうけど。
 ではでは本編をどぞ。



「なにしてんのよこいつらーーーーーー!」
 思わず喉が痛くなりそうな大きな声が出た。引きこもり体質のあたしとしてはこれだけでも喉が痛くなりそうだ。
「あやや、どうしたの?」
 案の定喉が痛いので無言で大声を出させた原因を、机をはさんで前に座っている文に見せ付ける。
 あたしの新聞『花果子念報』には『今日のちゅっちゅ』なるコーナーがあったりする。以前に念写に成功したにとりと雛のき――ちゅっちゅシーンがあまりにヒットしたので『コーナーか希望』『あれ、花果子念報ってこういう新聞でしょ』みたいな声もあり、最終的には文のススメもあってコーナーを作った。
 大体は念写で撮ってから本人たちに許可をもらって新聞に載せる。NGが出たらばれる程度にモザイクをかけたり加工して載せる。
 念写のときの検索条件は『幻想郷』『百合』『ちゅっちゅ』などを新着順に表示している。幻想郷を入れないと外の世界もよく引っかかるので入れている。特に『秘封倶楽部』なる二人組みがよく引っかかる。10枚あれば3枚はこいつら。
 それで今回一番上に出てきたのが最近出来た命蓮寺って寺にいる妖獣二人。寅丸星とナズーリンだ。二人は寺の参拝者たちに信頼されているからか、いろんな話を聞いていたり、住職の聖白蓮が忙しいときなどに代わって仕事をしてたりもする。寅丸はよくどじをするのが玉に瑕。
 写真はその寅丸がナズーリンに林の中で押し倒されてマジでキスする5秒前のものだった。ナズーリンの獲物を今らからいただこうとしているその表情は、むしろこちらのほうが肉食の獣。それに主従関係も逆転しているような気がする。確かナズーリンって寅丸のこと『ご主人』って呼んでなかったっけ?
 ああ、思い出したらまた恥ずかしくなってきた……。このコーナーの編集や記事を書いてるときはいつもどきどきするけど、ここまで露骨に肉食系されてると、直視でないわよ。
 あたしはそうなんだけど文は、
「やっぱりこの二人そういう関係だったんだ」
 とさらっと感想を述べる。あたしも予想はしてたけどこんなに肉食だとは思わなかったわよ。虎のほうが草食ってどうなのよ?
「あややや? はたては肉食系はイヤ?」
「ちょ……あやっ」
 あたしのあごに触れて恋人の距離まで近づく。
「カラスは肉食なのよ? 食べ物的な意味でも、性的な意味でも」
「文、まだ編集作業終わってな……」
「いいじゃない、今日は徹夜なんだし」
「だからって――んっ……」
 有無を言わさず強引に唇を奪われた。やっぱり文も肉食系鴉天狗よ。
 でもあたしも反発できない。目をつぶってその感触を味わわされる。
 あたしが文に何されてもいいからとか思ってるからかもしれないけど、強引なくせにやさしいちゅーをしてくる。強引に舌を入れてこないし、あたしの頭を撫でてくれたり、手をつないでたりしてくれる。
 体を伸ばしてる体制だからかあまり長くないちゅー。離れてるはずなんだけどなんだか頭がボーっとする。
「じゃあ今はここまで。終わったら寝る前にしましょう?」
「うん……」



 一人だとサボるし眠たくなるから、一緒にやる。そのほうがモチベーションもあがるし、何かあったら助け合える。出してる新聞こそ別物だけど競い合いながら、協力しながらあたしたちは言葉をつむぐ。これがダブルスポイラーのやりかた。
 そして今日は文の家でカリカリとペンを走らせる。書きたいことは決まってるからあとは機械的に手を動かすだけ。
 机をはさんで文も同じことをしてるけど、会話はない。さっきのちゅーからは文も集中して新聞の原稿をやっている。あちらも締め切りが明日の午前中だし、あたしと同じく徹夜コースだ。
 日が昇ってないしまだまだ時間がある。眠くもないしこれなら間に合う。残り3面ほど。
 ちらりと文を見る。新聞記者モードの真剣な表情の文。今話かけると他人の前でしゃべるときの取材モードでしゃべる。前にやったことがあるから間違いない。
 文はしゃべり方が2つある。取材モードとプライベートモード。違いをにとり風にたとえるとランチャーストライクとエールストライクぐらいは違う。
 取材モード。基本的に敬語。あたしと取材に出かけたときにあたしに話すときもこの口調になる。
 そしてプライベートモード。あたしに話すときの口調。あまり他人に見せない射命丸文の姿。こちらだとS気が増す。
「あやや、どうしました?」
 ほら、取材モードでしゃべった。たぶん無意識に使い分けてるからこうして二人っきりのときにでも敬語が出てくるのよね。
「別にぃ~」
 文のこと考えてた、なんて雛みたいな言葉は出せないし、にとりみたいに甘いことも言えない。他人から見ればそっけない言葉かもしれないけど『あんたのこと見てただけだから気にしないで』という意味合いで言ってる。文もそれを分かってくれるし、これがあたしたちの関係。にとりと雛みたいなベタベタカップルじゃなくて、短い言葉で通じ合う。新聞では長い文章を使うけど、大切なことは短い言葉で終わる。
 っと文に見とれるのはいつでもできるけど原稿は今しかできない。息抜きもほどほどにしないとね。
 すっかりさめてしまったお茶に口をつけるとあまり残ってなかった。沈殿したところの味が濃い。
「文~、なんか飲み物なかったっけ?」
「永遠亭でもらった栄養ドリンクがあるわ。冷蔵庫に入ってるから飲んでいいわよ」
 冷蔵庫というのは飲み物や食べ物を冷やして保存することができる河童の発明だ。あたしたちの使ってるのはにとりの特注品で、お酒のビンとかが入れやすいスペースが確保されている。
「栄養ドリンク?」
「疲労回復、栄養補給、治癒能力促進、その他もろもろの効果がある万能の飲み物だそうよ。取材用に試作品をもらったの」
 名前のあらわすとおりの飲み物らしい。本当に何でも作る薬剤師ね。
 台所にある冷蔵庫を開けると酒瓶がたくさん。そこ混じってる八意印の小さいビン。栄養ドリンク『ベホイミ』と書かれたのが何本かあった。もう一種類『メディア』とラベルの貼ってあるものもあったけどこちらは1本しかなかったので多いほうを持っていく。
「あやや、私の分は持ってこなかったの?」
「え、あんたもほしかったの?」
「そりゃ、もちろん。外の世界では徹夜の飲み物といえば栄養ドリンクだって早苗さんが言ってたし、ここで飲まないでいつ飲むの?」
「じゃあ取ってくるわよ。同じのでいい?」
「ああ、まって。半分こしよ。先に飲んでいいわよ」
「えっ?」
 それってつまりはあれだ。
 間接キッス。
 文とビンを介して間接的にちゅー。あたしが口をつけたものを、文も口をつける。あたしが口をつけたのだからちょっとかもだけどあたしのつばがつくかもしれない。それを文が一緒に飲んじゃう。
「あや? もしかして間接キッスになっちゃうのが恥ずかしいのかしら?」
 あたしの考えてることは文もお見通しだったようだ。
「そそそそ、そんなわけ」
「そうよねぇ。毎日会うたびにキスしてるもんねぇ~。あのお二人さんに負けまいと、わたしたちも唇と重ねて愛し合う。そんなことを恥ずかしがらずにやってるのにいまさら間接キッス程度で恥ずかしがってるなんてことないわよねぇ~」
 挑発的にあたしにいう超うぜぇ丸。
 確かに毎日文にちゅーしたいからちゅーしてるわよ。文ともっといろんなことしたいわよ。でも初めてのことはなんでもドキドキするものなのよ。文みたいに恥ずかしがらずに人前で抱きついて『私の嫁』宣言できるほどあたしは大胆じゃないし、文の入ったお風呂に入れないし、このとおり間接キッスなんて初めてだし。
「さぁ、わたしも飲みたいので、早くして」
 わ、分かってるわよ……。とりあえずビンを開けないと始まらないわね。
 ビンは黒いからどんな色の液体が入ってるのか分からないけど、文がもらってきてるということは少なくとも普通の天狗なら飲める飲み物なのは分かる。それこそにとりのキューカンバービールぐらいのゲテモノじゃなければ大丈夫。
 大丈夫のはずだけど、この一本の半分をあとで文が飲むと考えると、その、今から文にちゅーするような感じがして、やっぱりドキドキと緊張する。
 前みたいに勢いで文にちゅーできればいいんだけど、どうにもそんなことはあれ以来なく、いつも文があたしを引き寄せてちゅーする。それはそれで愛されてるって分かってうれしいんだけど、あたしからも文を愛したい。同じように文をぎゅーって抱きしめてウルウルっとした文の瞳を見つめて、頭を撫でて、そっとその唇を奪いたい。そんなことできたらこの一本もできる、超余裕のはず。
 女は度胸と愛嬌。にとりと雛みたいなラブラブカップルになるって決めたの。これくらいはして当然!
 グイっとドリンクを口に流し込む。そんなにまずくなく、ジュースっぽい。でもどういう材料でできてるのか想像はできないような不思議な味。
 半分以上飲んじゃった気がする。口の中に入れたのを少し戻すわけにいかず、そのままのどを通す。
「豪快な飲みっぷりね」
 まったくほめられてない。文はあたしの心境をお見通しでこの口調でその感想を言う。
 また机の前に座って、突きつけるようにビンを渡す。なんだか恥ずかしくなってきたし、これからあたしが口をつけた飲み物に今度は文が口をつけるのだ。そう考えたら文の顔も合わせられない。さっさと飲んじゃってよバカ文。
「ほらほら、見てなさいよ」
 いやよ。恥ずかしい。
 原稿しないと。明日が締め切りなんだし、バカ文にかまってられないんだから。
「あやや」
 ちょっと残念そうな声が聞こえた。ふふん~。



「よし、書けたわ!」
 外が明るくなりだしたころ、ようやく完成の宣言を出すことができた。黒い文字で埋まった記事を見て完成の余韻に浸る。
 この瞬間の気分がとてもいい。達成感っていうのかな、そういうのを感じる。それでさらにできた新聞を見てまたそういう気分になれる。
 これだから新聞記者はやめられない。鴉天狗だから新聞記者になったのは確かだけど、それを続けられるのはこの気持ちがあるから。
 もちろん読者が増えてモチベーションもあがってきたというのもある。前はどのくらい読まれてたのか調べもしなかったけど、今は目に見えて購読者数が増えている。新聞ランキングでも前は当然圏外だったけど、50位以上にいる。文が40台をキープしてるからあたしの今の目標は同じぐらいか追い越すこと。
 そんな文はと思って見てみると
「やっぱりソーナンスは必要ですね……」
 と寝言を言っている。目の前の原稿が埋まっているところを見るとあちらはあたしより早く完成していたようだ。今は夢の中。
「原稿終わったらちゅーしてくれるんじゃなかったの? まったく……」
 実はちょっと期待してた。お互い原稿終わって、お酒に少し口をつけて朝まで起きてて、一緒に印刷所に持っていくつもりだったんだけどね。
 締め切りの時間には起きればいいし、あたしも寝ようかな。でもそのまえに、
 押入れから掛け布団だけを出す。妖怪でも風邪引くときはひくし、あたしが先に寝たときは文が布団かけてくれたようにあたしもしてあげたい。
「椛にやらせましょうか。カウンターは技マシンで……」
 どんな夢を見ているんだろう。にとりが『雛の寝言はカオスそのもの』ってノロケてたけど文のもよくわからないのが多い気がする。だいたいあたしが先に寝ちゃうから聞く機会は少ないけど。今度文の寝てる姿を観察してみようかな。悪趣味とか思われるけど面白いかもしれない。
 布団をかけてあげると、あたしも文の隣に座って寄り添う。あたしも布団を方にかける。
 同じ布団を二人で共有するのはとてもあったかい。身も心もぽかぽかする。これもとっても気持ちがいいこと。
「印刷所があいたら起こすから。それまではお休み、文……」
 と起こさないようにささやくと、ほっぺにちゅーする。できなかった分はこれで勘弁してあげるわ。
 



 はやく結婚しろよこいつらみたいに思ってもらえれば幸いです。
 こういう風に原稿の苦しみと楽しみを共有できるのっていいなと思います・・・。ええホントに思ってますよ・・・。
 でも実際こういう環境だと逆に集中できなくなるのでできたてカップルにはお勧めできませんねw
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