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SSっぽいの「エクステンドライブ」

 前から書いていた東方のSSです。テーマは「ライブ」 メインキャラは永遠亭の4人。

 某東方ライブに感動して書いたものです。

 パロディや三次創作的な要素が強いのでSSサイトに投稿とかはしないです。
 キャラ崩壊や世界観無視なども含めてそういうのでも問題ないという方はどうぞ。
 長さは原稿用紙に換算して50枚ほど。SSというには長くて、短編小説というには短いです。
「えーりん! ライブがやりたいわ」
 また始まった……日曜のお昼くらいはゆっくり過ごしたいものだ。そう思ってた従者の望みはあっという間に薄くなっていく。
 昼下がりの永遠亭は静かである。ウサギたちも外の出ており、今日は日曜で診察もお休み。静かな居間でお茶を飲んでいたところに、騒動の『もと』を持って蓬莱のお姫様はやってきたのだ。
 永遠の命があるとはいえ、この年のこの月のこの週の日曜日は今日しかないのだ。今、ゆっくりしたい。何千年と生き、その天才ぷりから月の頭脳と呼ばれた永遠亭の薬剤師――八意永琳はそう思う。
「姫、ライブというのはどのライブでしょうか」
 ため息混じりに確認してみる。
「決まってるじゃない。歌って、騒いで、腕を振るライブよ」
 と豪語すると、えーりん、えーりんと従者の名前を叫びながら腕を振る輝夜姫。名前を呼ばれた側は、地獄まで届くような深いため息。
 と同時に茶柱が沈んだ。
 今度は何に影響されたのだろう。外の世界のパソコンに影響されたのだろうか。それとも騒霊の三姉妹(の次女)の演奏でも聞いたのだろうか。何にせよ、自分の日曜日は多分無くなろうと思う。そして今度は月の海の底より深いため息。
「というわけで、やりましょう」
「やりましょう、って姫。今すぐやるんですか?」
「まさか? しっかり企画して、他のバンドも呼んで、でっかくやるのよ。月まで届け、カゴメカゴメーってキャッチフレーズで」
 ホント、なんの影響だろう。まったく想像がつかない。またため息混じりに、
「で、その企画は誰がやるんです?」
「永琳」
「はい?」
 魚のように目を見開いた。月の都万象展のようなまともな企画ならまだしも、得体の知れない企画をいきなりやれというのだろうか。
「勿論イナバたちも演奏に参加させるわよ」
 そういう問題ではない。
「私が企画するんですか? 姫は何をするんです?」
「私は、キーボード弾くの。ラップもやっちゃうぞ」
 楽器の分担ではない。企画や運営の仕事は何かするのか。そう聞くと、
「ライブのタイトルと、キャッチフレーズ、あと私たちの演奏曲を決めるわ。あとは永琳よろしくね」
 結局、難しいことは私に任されるようだ。
 ため息の三連コンボが決まり、安息の日々はノックアウトされた。

 次の日の永遠亭はあわただしい。会場に使えそうな空間を考えて、機材はどうしようか、宣伝は天狗に任せようか、他に誰か出演してもらおうか、そんなことを考えながら鉛筆を走らせる。
 と訪問者が来たという知らせを受けた。
「ふふふ、話は聞いたわよ」
 何処から聞いたのだろう。まだ永遠亭のウサギ以外の誰にもこのことは話していないはず。こういうことは天狗だけにしてもらいたい。
 やってきたのは紅魔館の吸血鬼――レミリア・スカーレット。一緒にいるメイドの十六夜咲夜は永琳と同じ表情をしている。
 つまり、どちらも主人のわがままにつき合わされているということである。思わず目が合いお互いに苦笑い。
 そんな苦労人に対しレミリアはというとなにやらたくらんでる、というより新しいおもちゃを見つけた子供の顔。それでも並みの人間や妖怪ならこの顔で逃げ出すのだろうが、あいにく技量的にも話の内容的にも、ついでに外見も怖くは無い。
「その企画、紅魔館も参加するわ」
 いきなりやってきて、何を言い出すかと思えばそんなことだ。さっきまで一人でのんびりできた居間に騒ぎを増やす『もと』がどんどん集まっていく。いつぞや11日連続で神社で宴会を開いたと鬼の起こした異変だったらしいのだが、それと似たようなものなのだろうか。だとしたら誰が起こした異変なのだろうか。
 うちの姫様だ。
 紅魔館も参加するということを言ってはいるが仕事をやるのはそこのメイド長だ。こちらの吸血鬼はというと軽音楽とかなんとか言ってタンバリンかカスタネットでも叩くつもりだろう。オブラートという薬用カプセルにつめてそれを言うと、
「あら、パチェががんばって歌うのよ。私はVIP席でそれを優雅に眺めるの」
 どうやら姫と違って演奏にも参加する気も無いらしい。どっちがマシだろうか。わがままなところは五十歩百歩だろう。月と地球の距離にたとえると、どちらもわがままという大気圏内。
「で、他に参加者は必要? あの連中も呼んだほうがいいかしら」
「プリズムリバー三姉妹くらい言えるようにしましょう」
 そんなフォローも聞かず、熱いお茶を一気に飲み干す。
「とにかく! そんな面白そうなことを、あんたたちだけにやらせやしないんだから」
 何故かは知らないけど、こちらも気合が入ってる。こういう人たちの気合の分だけ、従者は頭を悩ませ、胃を痛くするのだ。自分用に胃薬を調合しよう。あと栄養ドリンクとかの用意も必要だろう。

 会場は以前月の都万象展に使った広い部屋を改装して使うことになった。会場の確保や改装などの準備が楽だから。
 ライブ(激しい曲の演奏会みたいなものだと永琳は思ってる)では何が必要か。紅魔館の図書館を借りていろいろ調べてみた。スピーカー、照明、演奏に使う楽器、その他もろもろの機材は河童や香霖堂からそれらしいものを借りた。楽器は本当によく分からないので姫を無理やり香霖堂につれていき選ばせた。
「永琳はミオと同じベースにしたから。左利き用だけど永琳なら大丈夫だよね?」
 ベースギターもそうだが、楽器の種類が同じならみんな同じじゃないのか? 使うことになった「FenderUSA '62 JAZZ BASS」というのと「FenderUSA PrecisionBass 67`」とはどう違うのだろう。
 会場の準備はちゃくちゃくと、急ぎ目に進んだ。
 というのも、姫や吸血鬼が『飽きた』と言って中止にされたら、せっかくの準備が台無しになるからだ。それならやったほうがマシである。
 急な募集だったにもかかわらず募集が結構あり、そんな中出演者も決まった。紅魔館からは図書館の本の虫――パチュリーと司書をやってる小悪魔(何匹もいるけどどれなのだろう) そして何故か門番の紅美鈴(永琳は名前を覚えてないので中国と勝手に呼ぶことに) 騒霊のプリズムリバー三姉妹、そして森の人形師――アリス・マーガトロイドと今からいやな予感しかしない顔ぶれである。
 準備は今のところ順調に進んでいる。天井には熱いと思えるほど明るい照明。ステージにはスピーカーなどが並び、かなり『それらしく』になっている。せっかくなので永遠亭のメンバーはそこで練習をすることになった。
「も~、何で私が」
 と愚痴をこぼす地上の妖怪シアワセうさぎ――てゐはメインヴォーカル。マイクを片手にステージ中央。一番目立つ場所である。
「まあまあ、こういうのもたまにはいいじゃん」
 なだめる『元』月の戦闘ウサギ――鈴仙はギターとヴォーカルである。1曲目はデュエット、2曲目はコーラス。ヘッドセットをつけてギターを弾きながらということになった。両方を覚えるにはまだ時間が足りないからか、スコアボードを見ながら練習をする。
 なんでこの二人がヴォーカルなのか。それを選んだ輝夜以外誰もわからない。それにこの曲デュエット曲はどこから出てきたのだろうかという疑問も出てくる。
 そんな疑問を持ちつつも、銃みたいな武器以外を手に持つことができると言って、鈴仙はうれしそうに練習をする。てゐはそれを見て嫌そうな、何か言いたそうな顔。
「鈴仙は楽しそうでいいわね」
「だって、楽しいじゃん。みんなでこうやって何かをするっていうのは」
 自然の中、仲間といえばしゃべれないウサギばかり。永琳に助けられてからは、こうして永遠亭やその近くにいる時間が増えたものの、やっぱり他人と長い時間一緒に居るというのは慣れない。
 なのでたまに一人で竹林の中に隠れたりする。そして遠い遠い月を見る。
 いつか、月に届くと願い。妖怪になる前のように飛び跳ねるのだ。
「でもねぇ」
 そんなことを知ってるような、2曲目の歌詞もちょっと気に食わない。自分が見透かされてる、自分のことを知ってるようなこの歌を歌わないといけないのが正直嫌である。
「ほーらー、イナバたちもしっかり練習する」
 そういう輝夜の上達っぷりは永琳もちょっと驚くほどである。やれば出来る子とはこういう人のことを言うのだろう。やらないから出来ない子なのではあるが。
「じゃあ、最初の曲をやりましょう」
 とやる気満々の鈴仙。
 最初にやる曲はデュエットである。鈴仙のパートは本当は男の人のパートらしい。でも輝夜は『あなたがやるとしっくりくる』と言っていた。やっぱり分からない。
「姫、合わせますよ」
 外の世界では有名なTM音楽家が使っていたのと同じ「ローランドSH-1000」が、軽快なメロディを奏で始める。
「素直に~」

 夕食の後も練習である。鈴仙はライブをやる事になって以来、自主的にも練習をしている。
 純粋にギターを弾くのが楽しい。
 月にいたころは戦闘訓練ばかりで、手に握るのは銃などの近代兵器。手に染み付くオイルと火薬の匂い。耳に響く爆発音。目に映るのは相手の命を奪う光と火。身に着けてるベルトの先にはライフル。
 それが今は右手にピック。耳に響くのは愛も歌える弦の音。目に映るのは明るく暖かい光。ベルトの先にはギター(外の世界ではN4とかヌーノ・ベッテンモデルとか呼ばれているらしい)
 平和な場所だとこんなにも違う。同じ指、耳、目なのにこんなにも感じるものが違う。それがただうれしい。
 一番乗りでステージに上がってギターをならす。足元のアンプで音を調整してもう一度。
 よし、と思うと「カゴメカゴメ」を歌いだす。2曲目には童謡であるはずのこの曲のフレーズが使われており、鈴仙はそれがすごく気に入っている。

 かごめ かごめ
 かごの中の鳥は
 いついつでやる
 後ろの正面だぁれ?

 ここをギターで弾きながら歌うのは鈴仙のパート。まだ他に誰も着ていないし、会場準備班のウサギもこの時間はいない。ただ一人、たくさんの俗説を持つこの歌を歌う。
 歌の意味なんて分からない。だけど歌うのは楽しい。それは分かるから。
 そんな風に張り切って練習をしていると輝夜や永琳もやってくる。全員がそろったら1回通して練習するつもりだったが、一向にてゐがやってこない。
「うどんげ、探してきてもらえる?」
「えー」
 あの竹林の中を探し回るのは苦労する。他のウサギたちも言う事を聞いてくれないし、言うことを聞いてくれたとしてもなかなか見つからない。多分、自分の知らない隠れ家みたいな場所があるのだろうと鈴仙は思ってる。別にそれは悪いことじゃないけど、こういうときにそれは困るのだ。
 でも隠れるために隠れ家に行くのだから間違っては無い。
「てゐ無しでも練習できますよ。姫なら曲を覚えてるでしょうから」
「私はラップ以外やら無いわよ」
 またわけの分からないことを言う。
「というわけで、おねがいね」
 永琳が笑顔で言う。笑ってはいるけど、何ともいえない恐ろしいオーラみたいなのを感じる。波長を弄ってもこればかりは変えられない。
 この顔で頼まれたら基本的に逆らえない。逆らったらどんな薬を飲まされるかまったく想像がつかない。いや想像もしたくない。
 月から永遠亭まで届きそうな深いため息をつくと、ギターを置いてステージを降りる。
 いまさらだけどステージは結構広く、幻想郷全ての人間と妖怪が入るのではないかと思うほどである。
 自分がここで演奏をすると思うと、ちょっと――すっごく緊張するかもしれない。
 だが結局てゐは見つからず、永琳に胡蝶夢丸ナイトメアEXを飲まされた。その日の夢は光の速さで月と永遠亭を何度も行き来する、ジェットコースター的なものだった。


 本番まであと2日。
 てゐは相変わらず練習に来ない。たまに来るけど、すぐにいなくなってしまう。練習もほとんど適当にやってる感じである。
 そんないなくなったてゐを毎回毎回探しに行くのは鈴仙の役目。見つからなければやっぱりきついお仕置きが待っている。
 だが、この竹林の中で見つかるわけも無く、毎日毎日新薬の実験体にされている。今日はどんな薬が使われるのか、考えるだけで耳も震える。
 そんなことを考えていると歌声が耳の中の鼓膜を揺らす。

 かごめかごめ
 かごの中の鳥は
 いついつでやる
 後ろの正面だぁれ?

 ライブで演奏する曲だ。嫌だとか言ってる癖に歌ってるということは、案外気に入ってるんじゃないかと鈴仙は思った。
 歌の聞こえるほうに行くと、岩の上で歌を歌う妖怪ウサギの姿があった。この世のどこでもない遠いところを見てるような目、誰に歌ってるでもない寂しい声。いつもと雰囲気の違うてゐに、ちょっと話しかけるのをためらった。
(師匠と会う前のてゐってこんな感じだったのかな)
 てゐはあまり自分のことを話そうとはしない。話しても明らかに嘘だと分かるようなことばかり。師匠と出会ったときに何があったのか。言ったら悪いけどこんな性格のてゐが、どうして師匠である永琳を私と同じよう師匠と呼ぶのだろうか。長く付き合っているが知らないことは多い。師匠に直接聞いたら分かるのだろうけど、どうにも聞く気にはなれない。本人が語ってくれることを待つばかりである。
 そんなことを考えつつ大きく深呼吸して、ちょうど今見つけたかのように声をかける。
「やっと見つけた……、てゐ練習戻って。このままだと私薬漬けで死んじゃうかも」
 てゐを探してるのは、ライブのためというよりは保身のため。胡蝶夢丸ナイトメアEXの効果がかれこれ3日続いている。自分の安眠のためにも、てゐには戻ってきて欲しい。
「鈴仙は毎日楽しそうね」
「前にも似たようなこと言ったわね。そりゃ楽しいわよ。師匠がいて、姫様がいて、てゐがいて」
「私は長いこと一人でいたから、今の騒がしいのはちょっとなれないな」
 と言葉をさえぎるように言われた。
 長いことウサギをやってきたが、あまり信頼できる者はいなかった。嘘をついて、相手をだまして何とか生きてきたのだ。
 あの時失敗して、逆に嘘にだまされて、もう死んでしまうかもしれないときに永琳に出会い、救われて、今生きてる。決して口には出さないし、他の誰にも言わないけどそのことに感謝している。
 だけど、これとこれとは別。こんな馬鹿騒ぎに付き合わなくてもいい。そう思ってるってるけど、
「でも、そうやってずっと一人でいたらいつまで経っても一人だよ」
 別に一人でもかまわない。長生きして妖怪にまでなったし、自分の庭のような竹林にいれば強力な妖怪に襲われたり、人間に退治されたりもしない。あの頃と比べれば天国と地獄の差がある。
 でも一緒にいるのは悪いことじゃない。むしろいいことだ。それを直接いうのは恥ずかしい。だから意地を張って言うのだ。
「私は鈴仙みたいに、寂しいと死んじゃうウサギじゃないの。楽器持ってはしゃいで、頭の悪い妖精みたい。月の戦闘ウサギが平和ボケなんて笑えるわね」
 さすがにちょっと言い過ぎたかも、と思いとっさに目を離した。
 鈴仙が月に居た頃、戦闘ウサギだったのは知っている。聞きもしないのに本人が教えてくれた。厳しい戦闘訓練に明け暮れてイヤイヤながらもかなりの戦闘力を手に入れたこと、月と地上との戦争で仲間をおいて逃げ出したこと、実はそれをかなり後悔していること、それを知っているにもかかわらずこういうことを言ってしまった。
 もう1回鈴仙を見たときには腕を組んでそっぽを向いてる鈴仙がいた。
「あっそ、どうせ私は一人で生きていけない平和ボケしたウサギですよ」
 まただ。どうして仲良く出来ないのだろうか。同じウサギなのに、目の色が違うだけ。ウサギの耳もついてるし、姿もそんなに違わない。境遇だって、お互い姫や師匠に助けられた身だ。
 なんとなく分かってる。自分がいけないのだ。仲良くできる、仲良くすべき相手なのに、自分の為にここまで来てくれたのに、こうして突き放してしまう。
 だけど一回張った意地は突き通さないといけない。こうなったらもう戻らない。
「こんなことに逃げて、何が楽しいの?」
「逃げてるのはてゐのほうだよ! 傷つくのが怖いの? だから嘘をついて逃げるの? 私は逃げないわ。そして歌うの。あの時見捨ててしまった仲間のため、今なお罪の意識を持ち生きる姫や師匠のため、素直になれない誰かのため」
「そんなのが何になるのよ」
「分からないよ! でも姫は私たちのため、自分たちの為にこの歌を選んだんだと思うの。ライブは思い付きかもしれないけど、この歌には意味がある」
 差し伸べられる鈴仙の手は、柔らかくて、暖かそうだった。どのくらい生きてるか良く覚えてないてゐだけど、こんなにもやさしい手をしていたのは永琳と輝夜と……他にはいなかった。
「だから、歌おうよ。てゐ」
 あの時は思わず手を握ってしまったけど、今回は違う。自分は一人で生きていける。何の不自由も無い。こんな連中と馴れ合う必要なんて……。
「ふ、ふんだ。あんなお遊戯、なんか」
「もういい、知らない。てゐの分からず屋、うそつき、頑固者、臆病者。ずっとそうやって一人でいればいいんだ」
 そう言って視界から月のウサギが消えた。
 能力を使われるとその場にいても見えないので本当にいなくなったかは分からない。だけど、今は本当にいなくなったのがなんとなくてゐには分かった。
 竹林が風で揺れて、淡い月の光がスポットライトのようにウサギを照らす。ライブ会場ではないのに、ステージに立ってる、立たされているみたいだった。客は誰もいない。
「あなたの赤い瞳が、私を――」
 それでも再び歌いだす。何故か自分の想いをそのまま歌にしたようなこの歌を。本当はあの人に聞かせたいこの歌を。
「ドオシテ、ドオシテ、フシギ」
 初めてこんなに胸が苦しくなるなんて……。

 準備は着々と進む。広い部屋は完全にライブハウスになった。チケットもありえないスピードで売り切れ、追加チケットを出したほどである。
 演奏順も決まり、永遠亭組は一番最後となった。レミリアと壮絶な弾幕喧嘩が行われたのだが輝夜が何とか勝利し、順番が決まった。
 あとは当日を待つばかりとなったが、前日の夜の練習にもてゐは姿を見せなかった。

 よいよライブ当日。会場内は人やら妖怪で埋め尽くされ、いつもより2倍も3倍も高い飲み物やお菓子も売れていく。
 来場客の半分ぐらいはプリズムリバー三姉妹のファンらしく、特製の服やグッズを持っている。
「いい感じじゃない」
 と2階特設VIP席で優雅にワイングラスを持つレミリア。
「まあ、私の企画なのだから当然だわ」
 ほとんどやったのは私です、というツッコミを飲み込んで乾いた笑いをする従者二人。
 咲夜はというと、パチュリーと小悪魔の練習につきあったり、当日使う音源を用意したり、プリズムリバーに出演を依頼したり、永琳との打ち合わせをしたりとやっぱり忙しかった。
「それにしても、どうしてライブのタイトルがあんた達寄りの名前なの?」
 エクステンドライブ ~月まで届けカゴメカゴメ~ というタイトルに決定した今日のライブ。勿論輝夜の提案である。
「他にいいのが思いつかなかったからよ。『明治17年の永遠亭ライブ』とか『U.N.オーエンはヴォーカルなのか?』とか『上海紅茶音楽祭』みたいなのも考えたわよ。でもどれもピンとこなくて」
「いまさらだけど『フラワリングナイト』っていうのはどうなの? 夜にやることだし、あんた達にとっても夜は特別な時間でしょう。いいじゃない」
「それはだめ」
「どうして?」
「それは……その、ね」
 すでにあるから、とは言えない。
「まあいいわ。で、もうすぐ最初の演奏だけど、あんた達のとこのヴォーカルはまだ見つからないの?」
「今鈴仙に探させてます。最後の演奏までに戻ってくるでしょう」
 と永琳。現在鈴仙と手の空いてるウサギ達に探させている。
「ふ~ん。まあいいわ」
 会場の証明が落ちてよいよ演奏が始まる。

 一番手である人形師、アリスの歌はどう考えても歌う曲ではなかった。声を取ってそれを元に音楽を作るというほうが明らかにあっている。外の世界では音声加工が当たり前のように行われており、こういう音楽はたくさんあるらしい。そんな曲を元に用意したのだろうが、明らかに生演奏向けではない。
 それにしても演奏をやっている人形を操りながら、よく歌えるものだ(実際には歌えてない)
 大恥をかいて、顔を真っ赤にするアリス。
「みみみみ、皆さん、くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」です」
 何を言ってるのか分からないけど、何がいいたいのかは分かるようで、観客もそれに反応してくれる。
「日本語でおkってやつね。一番手にしたのは失敗だったかしら」
 輝夜の言った『日本語で~』というのもよく分からないけど『意味が分からない』という意味だろう。咲夜も永琳もそう思った。
「でも次はうちの門番よ。こんなのと比較すればぜんぜん大丈夫よ」
「ホントかしら」
 グテグテのまま2曲目が始まる。可愛らしい女の子の恋を歌ったポップス。合いの手はあらかじめ録っておいてそれを使っているのだろう。こちらはまともに歌える曲のようだ。
「好きになったほうの~ま~け~」

 美鈴の1曲目は自分の名前を連呼するという自己主張の非常に激しい曲。
「あの門番の名前ってそんなんだったのね」
 サビで何回も何回も叫んで、スクリーンにまで表示して主張する3文字を見てそんなことをいう輝夜。
「あんたひどいわねぇ、いくらなんてもそれじゃアレがかわいそうよ」
「お嬢様も十分ひどいです。中国ぐらいいえるようにしましょう」
「あなた、わざとやってるでしょう」
「さぁ、どうかしら」
 と永琳のツッコミにニヤニヤしながら咲夜は言う。
 2曲目もさっきほどではないけど自己主張の激しい曲。よくもまあ、そんな曲を用意したものだと聞いてる者は思ってる。
「私の名前は『紅美鈴』」

 今回の一番有名どころ。プリズムリバー三姉妹。
 前の二人には悪いけど間違いなく一番盛り上がっている。今回の参加メンバーの中で一番それらしい――というかそれが本業――であり、客層が違うもののかなりやりなれた感がある。
「みなさーん。こんばんはー。メルポ」
「ガッ」
 というよく分からないやりとりが当たり前のように行われてるあたり、かなり数をこなしており、かなりのファンがいることがよく分かる。
「毎度思うけど、アレがリーダーじゃないの?」
「メルランくらい言えるようにしましょう。真ん中に立っている長女ルナサがリーダーです」
「上手(かみて)のちっこいの、なんて言ったっけ?」
「リリカです。姫、そういう敵を増やすような発言は控えましょう」
 巷や人里で有名でも、普段外に出ない二人のプリズムリバー三姉妹の認知度は低い。

 紅魔館のお嬢様が推薦の――無理やりやらせた――パチュリーの演奏である。サポートとして小悪魔がショルダーキーボード(KORG RK-100)を持って一緒に舞台に上がるということが決まっている。
 推薦しただけあって、出番の前にステージ裏にやってきた紅魔館のお嬢様。忙しくしてるステージ裏の中を堂々と歩く。後ろについてくるメイドは申し訳なさそうな顔。
「パチェ~、応援しに来たわよ」
「レ、レミィ……。ねぇ、これでステージに立たないと駄目?」
 いつものネグリジェみたいな衣装とは違い、スカートの丈は短く、リボンはいつもより大きく、そして赤いフレームのオシャレな眼鏡。パチュリー本人曰く、外の世界の「セイユウアイドル」みたいな格好。
 セイユウというのはよく分からないけど、香霖堂にこういう女の子の写真がたくさん載っている雑誌があり、レミリアがそれを参考に咲夜に作らせたものだ。
「いいじゃない。これであいつもイチコロね」
「あいつって誰のことよ」
「白黒で、いつも箒に乗ってて、たびたびうちの屋敷に侵入しては本をとっていく……名前は、きり……」
「わーっ! 言わなくていいのっ」
 とあわててレミリアの口を押さえる。
「で、来てるの?」
「ムゴゴ」
「誰って……その、あいつ」
「ゴォ」
 さぁ、と両手を上げる。本当は見に来てるのを知っている。そういう運命になることが分かってるし、この先もどうなるか分かってる。だからこの格好にして、この曲を選んで、順番を最後のほうにしたのだ。トリを取られたのはちょっと計算違いだったけど、ほとんどはうまくいっている。
 あとは本人次第。パチュリーが本番、舞台でがんばれるか否かに掛かっている。これ以上は自分の能力の管轄外である。
「さっきの演奏のとき後ろのほうで見てましたわよ。チケット持ってないのに入ってくるなんて、いい度胸してますわ」
 咲夜はずっと主と一緒にいるように見えて、実際は警備の担当である。会場の混雑具合やトラブルになりそうなことを、持ち前の能力で解決している。なので何か起こしそうな人物は全てマークしている。その『あいつ』もトラブルメーカーとしてマークしていたので覚えていた。
「そう……来てるんだ」
 両手を胸の前で合わせて呟く。」
 あの人が来てる。この曲はあの人への想いを歌った歌。あなたが見たら驚くように可愛い服まで用意した。これでプリズムリバーの演奏で帰ってたらどうしよう。帰ったまではいかなくても、会場から出て休憩所でくつろいでたらどうしよう。
 この会場の誰でもない、あなたのために歌いたいのに。
「パチュリー様」
 今回の演奏のパートナー、図書館の小悪魔――正確にはそのうちの一匹――が声をかける。ベルトで肩に掛けてあるキーボードを見て、そろそろ出番なのんだなと思った。
「がんばりましょう」
「ええ」


 静かな、紙の音、めくる音。
 揺れる椅子の、きしむ音。

 図書館の静かな風景を歌った、しっとりとした1曲。喘息持ちのパチュリーが1曲目でつぶれてしまうかもしれないことを考慮したチョイスである。
 そんな曲を歌いながらも会場からあの人物を探す。隅から隅まで、でも不自然な動きにならないように。
 どうしてあの人はあんな格好をしているのだろう。白黒と言っても黒が多いから暗い中じゃ見つけにくい。眼鏡を掛けてるといっても伊達だからよく見えるわけが無い。
 そもそも本当にここにいるのかも分からない。プリズムリバーの演奏がお目当てで既に帰ってしまったかもしれない。いや、それよりも一番最初のアリスが目当てなのかもしれない。
 最近、アリスと仲よさそうにしてたというのを咲夜や美鈴から聞いている。図書館にも来ないし(来られても本を持っていかれるから困るけど)地霊殿の一件以降、あまり話もしてない。
 私のこと忘れちゃったのかな……。
 そう思ってるうちに、一番が終わる。
 やっぱり、そうなのかも。そう思うと泣きそうになる。
 うつむくパチュリーに小悪魔がすばやく寄ってきて
「パチュリーさま。B席の一番奥の真ん中らへん」
 と言われて、顔を上げて見てみると。
 いた。
 白黒のエプロンドレスに、室内なのに白黒の帽子、スタッフのウサギからワインを貰っている歌を聞かせたい人。
 ギターソロのパートが入る。小悪魔にお礼をしようと思ったら、既にさっきの位置に戻っていた。そんなパチュリーに気づいてか、
(いえいえ。よかったですね、パチュリー様)
 と言いたげなウインク。
 2番からは二人のお話。二人だけの図書館のお話。
 
 紅魔館の魔女の演奏が終わる。観客のテンションは有頂天で、最前列はおしくらまんじゅう状態。いくら永遠亭が病院を兼ねているとはいえ、ケガ人が出ないか心配だ。
 耳を揺らしながら、客席から見えないところでそれをチラッと確認する。こんなに人がいるの見たのは初めてかもしれない。普段人前に姿を現さない自分としては見慣れたものじゃない。
 深呼吸し、鈴仙は手に「人」と書いて飲み込む。
 人。
 人。
 人。
「何してるの?」
 と輝夜に聞かれた。姫様というだけあってこういう人前に出ることは慣れているようで、まったく緊張している様子が無い。
「こうすると緊張が解れるそうです」
「あなた、ウサギなんだから『兎』って書かないと駄目なんじゃない?」
「そうなんですか?」
「そんなので緊張が解けるわけがないでしょう。観客全員を西瓜だと思うのよ」
 と永琳。鈴仙は身震いして、
「観客全員が鬼……。師匠、かえって緊張します」
「スイカ違いね。それと永琳、観客を『かぼちゃ』だと思う、が正しいわ」
「そうだったかしら?」
 本番の前だというのにくだらないことを考える永琳もまったく緊張してないのが分かる。一人心臓をバクバクさせているのは鈴仙だけ。
 盛大な拍手と歓声と共に舞台の幕が一旦下りる。幕が降りきったその直後に魔女がふらふらと崩れる。
「病弱なのに無茶するからよ」
「単なる喘息じゃないんですか?」
 面識のあまり無い輝夜も鈴仙も共通してこう思ってる。
 体力の無い魔女だ。
 キーボードを弾いていた小悪魔に付き添われて舞台下手のほうに戻っていくパチュリー。それを誰も気にすることなく、ウサギたちがせっせとアンプやコードを運び始める。
 パチュリーが満足そうな顔をしていたのを小悪魔だけが見ていた。
「さて、私たちも準備しましょう」
「師匠……、やっぱり私ソロですか?」
 てゐが本当にやってこないことを想定して、鈴仙ソロで歌えるようにアレンジをしたパターンも練習していたが、1週間もやってない練習じゃ限界があり歌詞も音もうろ覚え。当然自信も無い。
「あら、来たわよ」
 と輝夜。
「ってゐ!」
 上手のほうを見ると見慣れた妖怪ウサギの姿があった。
「鈴仙……私、その」
「ほら、つまる話はあとあと。本番直前なんだから」
 鈴仙もそれをハッと思い出すと、うなずいてギターのセットに掛かる。アンプに繋いで適当に弾いてみる。E、Em、F7、F#m……チューニングよし、音もよし。
 マイクのスイッチを入れて準備完了である。
 てゐは恐る恐るステージの中央まで歩く。スタッフのウサギからマイクを渡され、受け取る。マイクには可愛らしいリボンがついている。
 姫を見る。特には気にしてない様子。キーボードの音量などを調節している。
 師匠を見る。既に調整や準備が完了しており、まっすぐホールのほうを向いている。
 最後に鈴仙を見る。準備は既に終わっていると思うけど、それでも念入りにチェックをしている。と思ったら、思いっきり深呼吸。すると今度は手のひらに何か指で書いて飲んでいる。
 鈴仙馬鹿みたい、そう思うとなんでか笑えてくる。
 ステージ脇の河童が合図すると良いよ幕が上がる。

 この曲はデュエットである。
 てゐのパートは素直になれない女の子。好きな子にどう接していいか分からない。
 鈴仙のパートは大丈夫、とアドバイスし励ます。同時に想われてる存在でもある。

 今日も上の空なの?どうして?
 一人になんかしないで

 素直な気持ちをぶつければいい。大丈夫さ
 一人になんかさせないから

 あなたが困ると知ってる。でも意地悪したくなるのはどうして?
 ドウシテ?ドウシテ?フシギ

 初めてこんなに胸が苦しくなるなんて。

 やってきました生放送でもやっぱり私は何もしない
 やる気出ない、めんどくさい、困ったときの人頼み
 そろそろ仕事を探しましょう
 世間はニートにやさしくない

 毎日が日曜日!

 気ままな私を助けなさいっ!

 思わずみんな輝夜のほうを向いた。
 何を言ってるんだこの人は?
 永琳は怒りも悲しみも通り越した呆れ顔をしている。言いたいことが多すぎる。月の頭脳といわれた天才薬師八意永琳の知恵を持ってしても、この人をどうにかできないというのか。

 何か話そうとするけど、姿を見ると隠れてしまう。
 元通り、仲直りできるかな?

 不安な気持ちをぶつければいい、大丈夫さ。
 元通り、仲直りできるから。

 この気持ちを分かってもらいたい。そう思うことは悪くないよね?

 

 歓声が上がる。大成功だ。
 姫を見る。ラップの内容が明らかに空気を読んでなかったけど、本人は満足しているようだ。ちゃっちゃとドラムマシンを用意し始める。
 師匠を見る。まあいいでしょう、という顔。だけど輝夜に言いたいことがあるに違いない。
 鈴仙……。成功を喜びたいけど、ちょっと複雑。自分に言いたいことでもあるようだ。
 言いたいことがあるのは私。あんなにひどいことを言ったから謝らないと。
 でも、私は素直にはなれそうにない。
 ドラムマシンのテストでハッと気がついた。挨拶をしないと。
「こんばんは。えいえんてゐれーせんです」
 実はMCで何を言うとかまったく決めてなかった。それなのにMCは自分の担当。
「早いものでこのエクステンドライブも私達が最後です。ラストを任されたバンドとして、恥じないような演奏をしてきたいと思います。
 皆さん、ゆっくりしていってね!!!」
 拍手と歓声が再び上がる。なんと気持ちがいいことだろう。ずっとここにいたい。
 再びメンバーを見渡す。永琳も輝夜も準備は出来ている。あとは鈴仙だ。
 うつむいて、このあとどう自分と話そうかと考えているのだろうか。
 そんなの考えないで今このときを楽しんで欲しい。この日、この時間、この場所で、こんなことが出来るのは今しかないから。
 明日のことは明日考えよう。あとは死ぬまで盛り上がれ。
 でもやっぱり素直には言えそうにない。だからいつものように、
「オイ鈴仙、何突っ立ってるんだよ。早く輪に入って来いっつってんだよ、バーロー。just do」
 前よりはましになったかな?

 ウサギは何を見て跳ねる?
 十五夜?十六夜?それじゃ物足りないね。
 さぁ、月と踊ろう。
 眠れない宴はまだまだこれからだ。

 かごめかごめ
 かごの中の鳥は
 いついつでやる?
 後ろの正面だあれ?

「みんなも一緒に歌ってね」
 そうてゐが煽るとみんなが鈴仙と一緒にかごめかごめの大合唱。これなら天まで、月まで届く。そう思える。

 かごめかごめ
 かごの中の鳥は
 いついつでやる?
 後ろの正面だあれ?

 さぁ、今日も夜に飛び出して月と踊ろう
 何処までも高く……月まで届け

 長くいつまでも続いた夜
 繰り返す日々を機織続けて

 いつか
 月まで届け
 月の果てまで


 楽しかった宴も終わり。片づけが終わった会場ではスタッフや出演者が静かな宴会をやっていた。
「おつかれさまー」
 という声で乾杯。
 皆が楽しかった、よかった、またやりたい、ということを口々に話す。これからは定期的にこんなイベントをやろうという声もある。
 だけど多分次は無い。主催の姫やお嬢様が次までに飽きてしまうから。
 そんな誰もわからない先のことをみんなが話している中、人の輪から外れて隅っこに座り込むウサギの姿があった。さっきまでステージの中央であれだけ騒いでいたのとはまるで別人のような雰囲気。
「おつかれ」
 そんなてゐに声をかけて来た人がいる。まず見えたのは細めの綺麗な足、さわやかな青色のミニスカート、白のYシャツに長い耳。目はニンジンを食べ過ぎたみたいに赤い。
 鈴仙だ。
「うん」
「気の無い返事ね。騒ぎすぎた?」
「そうかも」
 無理やり笑って見せるけど、いつものようにいかない。作り笑いは特技なのに。
 あの時はテンションに任せていつもどおりに言った。でも今こうしてまた冷静に考えてみると、あんなひどい事言って傷つけた鈴仙に顔向けなんて出来ない。今も目をそらしたままだ。
 でも、素直な気持ちをぶつければいい。大丈夫、仲直りできるよね。
「鈴仙……」
「ん?」
「ごめんなさい」
 一瞬なんていわれたのか鈴仙は分からなかった。誤麺名際?
 いや、よく分かってたけどうまく判断できなかった。てゐが口にするとは思わなかった言葉だったから。
 最初の言葉を頭でうまく処理できないでいる鈴仙に続けて、
「私、鈴仙にひどい事いった。もう嫌われちゃったって思った。これで本当に一緒に入れなくなったって思った」
 うつむいて顔を隠すてゐ。こんなときにも顔を見せたくないところがてゐらしいと思った。
 手を頭にぽんと乗せ、
「いいよ。ひどい事いったのは私もそうだもん」
 なでなで。
「わがままで気ままで、たまにいたずらで困ったりもするし、師匠に怒られたりもする。けどやっぱり私の大切な仲間だもん」
「鈴仙……」
「て……ゐっ!?」
 思わず変な声を出した。タイミングよく「ゐ」の時に上から何かが落下してきた。
 地面に落ちてグワングワンと音を立てるのはタライ。
 涙目のまま前を見てみると、いつものいたずらシアワセ素兎がいた。
「こ……の、てーーーーゐ」
 といつもの追いかけっこが始まった。
「あらあら」
「ライブが終わったのに元気ね。あの子達」
「永琳もやりたい?」
「いいえ、姫のわがままに付き合うだけで、いっぱいいっぱいですわ」
 宴会は疲れを知らないみたいに盛り上がる。
「ラクトガール? 冗談じゃない。この扉を開けてくれ」
 ほとんどの物が片付けられたステージにはギターを弾きながら歌うスタッフじゃない白黒がいる。
 ホールの奥では追いかけっこをする二人のウサギ。
 夜はまだまだこれからだ。

 その後この「エクステンドライブ」の2回目が行われることは無かった。永遠亭はいつもどおり、ウサギのトラップや姫のわがままでトタバタする毎日が続いている。
 そんな永遠亭の物置に、仲良くほこりを被るギターとマイクがしまわれていた。

 でも問題無。平凡な幻想郷じゃつまらないから。


 あとがき
 というわけでこんばんわ、雨男こと雨竜三斗です。
 東方アレンジをやってるサークルのライブや、この話の元ネタであるライブ「Flowering Night」に影響されて書いた話です。
 それ以前にキャラクターがアニメのOPやED、キャラソンなどを歌ったり演奏したりしてるのを妄想するのが好きなのでこういう話は実際に書いてみたかったのです。
 本当は手書きPVライブ風みたいなのを作りたいのですが、それに見合う画力がないので出来ずにいます。案を出すだけなら誰も出来ますけど、実行するのは難しいのですね。
 今回偏りはありますが、いろいろなアレンジなどを元ネタにして書きました。知らないって曲がありましたらぜひ聞いてみることをオススメします。そうすると何処の歌詞を引用してるか分かると思います。
 でも「こんなのあるよ」って元ネタのところに紹介するのは簡便してくだしあ(ないと思うけど一応) 恥ずかしいし、いろいろと悪いので……。
 BGM:シアワセうさぎ(再) COOL&CREATE(あまね+ビートまりお)

補足、楽器元ネタ(基本敬称略
ギター
N4、ヌーノベッテンモデル:石鹸屋、秀三氏の愛用のギター。かなり高価なものらしい。
ベース
FenderUSA '62 JAZZ BASS:「けいおん」にて澪の使用してるベース。元ネタも左利き用。
FenderUSA PrecisionBass 67`:岸田教団の総帥が使っているベース。有名なベースのようだ。
キーボード、シンセ
ローランドSH-1000:小室哲也が使用してたシンセ。元ネタ的には狐夢想氏がライブで使ってたもの。(ソースはラジオ)
KORG RK-100:「けいおん」にてムギが使用している肩掛けキーボード。
ドラムマシン:指でボタンを押すとドラムの音が鳴る打ち込みのような楽器。とある東方アレンジの手書きPV(下の動画)でさとりが使ってるのを見てこういうのもあるのか、と思って登場させました(あってますよね) ドラム担当や2曲目のキーボードの扱いに困ったので、都合のいい道具があってよかったです。

アンプ等:省略。そこまでこだわれないっすw
虹川姉妹の楽器:幻想郷縁起に解説があるのでそちらを。

元ネタのアレンジ(敬称略
アリス
「魔理沙は大変なものを盗んでいきました」
「アリス→デレ」(共にイオシス)
美鈴
「門門しましょ」(C&C)
「門番少女ちゅうかなめいりん」(イオシス)
プリズムリバー三姉妹
 特になし。原曲のイメージで。
パチュリー
「としょかんのおと」(C&C)
 服装も元ネタの人っぽく描写してみた。
永遠亭メンバー
「事件は永遠亭にて」(曲というか声)言ってることは多分合ってる。
「ってゐ! ~えいえんてゐver」(石鹸屋) ~からの表記がないのはインストアレンジ。
「シアワセうさぎ(生)」(C&C) カッコなし、再、生とではラップやコーラス、演奏などかなり違う。カラオケに入っているのは再の前奏を無印につけたもの。PV付きは石鹸屋とのツーマンライブのときのもの。
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これはインファの永遠亭で提供していた話ですね。
やっぱり描写や説明の文がいいですね。長文が書けるってすごいです。
こうやって読んでいると聞いたことがない曲が多いですね。

Re: タイトルなし

> これはインファの永遠亭で提供していた話ですね。
 よく分かりましたね。その説明しようと思ったけどすっかり忘れてた。
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